ときどき
自分が世界のはじっこで


この世界をけがすものとして
存在するような気がして


私がいなければ世界はもっと
単純で美しいかもしれないと
思うときもあるけれど



ときどき
世界がほんとうに美しく優しいとき


この世界にいることができてよかったと
心の底から思います



願わくば
私が今日誰かに
少しでも暖かいものを伝えられていますように


私が世界やほかの人から得た美しいものを
少しでもお返しできますように





私たちはきっと
遠い遠い昔 海の中で


おなじひとつの泡から生まれた



ずっとずっと長いあいだ
別々の時間を
別々の体で過ごして


今またここでひとつに出会う




君が世界の一部であるように
世界が君の一部であるように


君は僕で
僕は君で




つないだ手が暖かく
みつめた心がとけあうように


私とあなたはここでまた
おなじひとつの世界をつくる





語られなかった言葉や
伝わらなかった想いはどこへ行くのかな


それがもしもどこかに
捨てられて山のように積もって
ただ鈍く朽ちるのを待っているのなら


私はそれを磨く人になりたい



ひとつひとつきれいに磨いて
その輝きを取り戻して


耳をあててそのささやきを聞きたい



落とした人が 失った人が
気づいたときに取り戻せるように


望んで失ったものならば
その傷がはやく癒えるように



  取り戻した輝きは
  磨かれて世界に散らばって


  夜空の星に
  朝露の雫になって


  また誰かの言葉に 想いに



私はそれを磨く人になりたい
その輝きひとつひとつを





君は知らないんだよ 
僕がどんなに君といるのが幸せか



暖かい日に照らされるよりも
青い草の上に寝転ぶよりも

君と手をつなぐほうが暖かいって


朝露に輝く花を見るよりも
霜の光る星を見るよりも

君の笑顔のほうが眩いって


君が隣にいると僕の世界は
こんなに鮮やかになるってこと



恥ずかしくって言えないから
だから君はきっと知らない


僕がこんなに君を好きって





人はきっと


自分ではどうにもできないとき
祈るのだと思う



私では
あの人の力にはなれないと
気づいてしまったから



神様


あの人が辛い夜を過ごしませんように


あの人に暖かい朝が来ますように


あの人の孤独が癒されますように



そして

あの人の想いが届きますように





望んでもふれられないもの



それは君





あなたの進む先
あなたの目指す先を


あなたの求める光のある場所を
どうか見失わないでください


それがとても長い道で
それが遠く細い光でも



その遠い光が見えるのは
あなたがそれを求めているから


その暗闇の道を抜けて
あの光を全身に浴びたいと





あなたの胸に耳をつけるのが好き
あなたの中を流れるものの音がする


深い深い奥を流れる
はるか遠くから聞こえる


あなたの心からとめどなく湧き出て
体の中の暗闇をめぐる


それは力強くて優しい
誰もふれられない暖かい流れ


あなたの胸に耳をつけて目をつむる
それは今日もここに流れる





目をそらしたのはあなた


手をはなしたのは私



二人で夢見た未来を


静かに手放した






私の手は小さくて
あなたの悲しみを受けきれない


あふれてこぼれてしまうから



二人のてのひらをあわせて
どんな悲しみも受けられるように


二人ぶんの悲しみも涙も
二人の手なら受けられる


こぼさないようにそっと



たまった涙と悲しみが
私たち二人のてのひらの中で
あたたかい海になるように